2020年を振り返る―耀画廊展示を通して―

 昨年は多くの人々にとって記憶に残る一年でした。日本いや世界中の人々が

平和の祭典第2回東京オリンピックに向け希望を抱き新年を迎えました。

 耀画廊も『永遠に輝くメダリストへの讃美』展を

1月18日~27日(I期)と2月1日(II)期の2期に亘って開催し、

オリンピックの開幕を祝福しました。

 しかし3月に入りますと、世界は「明」から「暗」に一変しました。

目には見えない新型コロナ菌の感染拡大により、世界の人々が震撼させられ今日に至ります。

 医学・医療が発達した今日であっても、ミクロの世界ウィルス菌に対応できる決定的な術がなく、

ただただ人間の無力さを痛感するばかりです。

ともかく緊急事態宣言に協力し、作家にはご迷惑をかけたと思いつつ、

4月・5月の展示は不本意ながら中止せざるを得ませんでした。

緊急事態解除後は、変則的ながらも展示を再開しました。

いまでも6月再開の際ご来廊下さった美術愛好家が、展示作品を観たときに見せた

久々の喜びの笑顔が忘れられません。人間を苦しみから救うものには、

科学・医学といった物理的な面と、芸術的な面の両面が必要であると、来廊者のあの笑顔から痛感しました。

有史以来人間にとって、芸術は不可決であったと思う。神に祈りを捧げるためには、

お供え物と共に心願を表す芸術表現(例えば壁画等)がありました。

 いまだに世界の人々を震撼させている新型コロナ菌の終息はみられません。

終息のために医学・医療に関わっている人々は、自分に与えられた責務を全うしているのです。

 自己満足からでしょうが、コロナ菌の終息と平穏無事の社会回復を真摯に願い祈ることが、

微力な自分でもなにかできるのではないかと思い始めました。

 そこで耀画廊は菩提寺の傳通院に納める奉納絵馬を泉東臣氏(耀画廊関係作家)に制作を依頼しました。

お陰様で12月中旬に完成し、無事に絵馬を寄進・奉納ができました。

 2020年最後の展示として干支展が開催され、各作家には一枚画廊指定の絵馬(特注品)に

来年の干支(丑)を、もう一枚には自分の好きな干支を描いてもらいました。

                    *

  作家にも、美術愛好家にも、そして画廊にとっても試練の一年であり、

一刻も早いコロナ菌の終息を祈るばかりです。

 

                          2021年2月吉日

               東京九段耀画廊 画廊主 富田光明(作新学院大学名誉教授)