画廊便り 2015年
11月展「7人展―Birdful―」
11月展:7人展―Birdful―が無事終了いたしました。今回は鳥の愛好家で、作家のフェースブックをみて来廊された方が多かったと思います。実際に梟を鳥かごに入れて当画廊に来てくださり、作家達にご披露し、梟も作家の肩に静かに止まっておりました。展示作品は密度の高さを感じさせるものでありました。また特別コーナーに展示しましたドローイングも良かったと思います。
展示に関しましては、全て彼らに一任いたしました。当初は平面作品と立体作品のバランスを心配しておりましたが、杞憂でありました。その理由は展示作家全員が学部の2年生でありましたので。でもさすがにプロの卵でありました。全く問題ありませんでした。
またレセプション・パーティーの前に、半強制的に作家全員に簡単なトークをさせましたが、皆それぞれの内容がまとまっておりましたので、これに関しても安心いたしました。このあとは皆楽しくパーティーに参加し、飲み物を手にしながら、楽しい談笑のひと時を過ごしたようでした。
パーティーが終わった後の彼らからは充実感が感じられ、和やかな表情が漂っておりました。
10月展「しゆてん―2015―」
10月展「しゆてん―2015―」が無事終了いたしました。
楽しかった2週間の展示期間であり、あっという間でありました。
まさに「しゆ」の意味(僅かな時間)を私は期せずして、実感した思いであります。
全く画風の異なる作家二人(同級生)が、同一空間の中で「個」を主張しながらも、不協音が生じなかったのは不思議でした。(特に飾り付けに立ち会った私にとっては)
それは多分お互いが不足しているものを本能的に感知し、それを自然な形で補い、二人で一つの芸術空間を創り上げた結果だと思います。
彼らの学部時代はあと数カ月しかありません。ともかく完全燃焼をしてもらいたい。
彼らの将来が楽しみであります。
9月展「新谷有紀展 —青との対話—」
9月3日に新画廊に移転しました。9月展は個展『新谷有紀展』(2015.9.15~29)であり、画廊移転後に開催された最初の本格的な展示となりました。
グループ展とは異なり、出品作家一人の芸術世界が要求されます。その点からしても大作が多くありました彼女の個展は、その要求に十分に応えてくれたものと思います。
当画廊を訪れてくださった来廊の皆様は、きっと‘青との対話’を堪能してくださったことと存じます。
6月展『国際木版画招待作家展―木版を愛する作家達』
6月展『国際木版画招待作家展―木版を愛する作家達』も多くの方がご来廊下さり、好評裡のうちに、無事終了いたしました。感謝申し上げます。
今回の木版画展は、当画廊にとりまして、最初の試みでありました。日本人作家の一人を除き、他は海外の作家達の作品でありました。
彼らの作品を拝見いたしまして、私たち日本人が意識していなかった事物、例えば刷り上がった版画の作品に、薄手の和紙を簾のように一枚垂らすことで、異質の世界を創出し、また富士山を箱にパッキングしてしまう発想は、新鮮なものでした。
4月展 前期展示「宋知恩展―異国に咲くハナ―」/後期展示 映像作家・上平晃代「竜~春のめざめ~」
4月展の前期展示は、「宋知恩展―異国に咲くハナ―」であり、
今回が彼女(東京藝大大学院の韓国留学生)の第2回目の個展でありました。第一回目の個展(2013.12)の折に、彼女の作品を購入して下さったイスラエル公使が今回も耀画廊を訪れ、<異国に咲くハナ>に魅了されておりました。御蔭さまで彼との出会いにより、私は先月4月23日にイスラエル建国67年記念パーティーに招かれ、幸いにも大使(女性)をはじめとして、多くの人々に耀画廊の若手作家の作品を紹介する機会を持つことができました。
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4月展の後期展示は、映像作家・上平晃代「竜~春のめざめ~」で、映像作品の2点及び出品作品の絵コンテなどを展示しました。この企画は当画廊といたしまして、最初の試みであり、また彼女の初個展でもありましたが、かなり好評でありました。彼女自身が映像作家としての‘めざめ’を感じ、映像作家として、これから益々成長してくれること願っております。因みに「竜~春のめざめ~」は3月コレド室町で上映されたものを画廊用に編集したものであり、邦楽との見事な調和が生まれました。
3月展〈春の讃歌 ー若き日本画家たちのー 〉(前期:2015.3.1.~12、後期:14~25)
今年も昨年同様に3月展の会期が終了間近となりますと、桜の芽吹きが活発になり、靖国神社能楽堂の桜が数片咲きはじめ、桜宣言となりました。今回は若き作家達(前期12名、後期12名)に、各自の春を讃える‘心’を一枚の絵画で表現して頂いました。一月早く、耀画廊の展示室に春が訪れました。
3月展にもアート・ソムリエの山本冬彦さんが、前期・後期とご来廊くださり、時には辛口の感想を述べて下さりました。山本さんのアドバイスは若き作家にとって、大変な糧となることでしょう。右に掲載いたしますスナップ写真は、各会期最終日の打ち上げ前の集合写真です。
春の讃歌前期出品作家
春の讃歌後期出品作家
2月展〈えにし展 ー耀画廊・若手取扱作家達によるー〉
〈えにし展〉(2月14日~25日)の展示が、昨日成功裡に終了いたしました。
これもご来廊下さった人々のご協力の賜物と、感謝申し上げます。
さてこの画廊企画展を開催するにあたり、出品作家全員にこの展示会の重要性を理解して頂き、出品作品は全て新作であり、作家の成長が見られる作品展示を依頼いたしました。
彼らは私の意向を謙虚に受け止めて下さり、その甲斐もありまして、おかげ様で大変に質の高い作品展示となりました。有り難いことに、今回は多くの収集家がご来廊となりました。若き作家のほとんどの人がご存知のアートソムリエ・山本冬彦さんがご来廊くださり、出品作品を丹念にご鑑賞し写真を撮り、最後に展示作品の1点をお買い上げ下さいました。若き作家にとりまして、地縁血縁以外の方にこのように自分の作品が買って頂ける事は、彼らに計り知れない自信を与えます。画廊といたしまして、嬉しい限りです。
ところで先日 日本美術史研究のオークレイ女史が耀画廊を訪れました。彼女は英国生まれで、ロンドン大学で現代美術を専攻しましたが、ある時日本画との出会いがあり、すっかり日本画の虜になり、現在は九州大学大学院で日本美術史を学んでいるとのことです。当画廊で展示されていた若き日本画家の作品を鑑賞しながら、外国人にとっての日本画の魅力について彼女と話しながら、午後のひとときを有意義に過ごせたと同時に、更に日本画の魅力を外国人に発信する義務は、画廊にあるのではないかと反省いたしました。
2015.2.26. 画廊主 富田光明